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夢の話

○夢の話
 11月24日-28日と、「日本留学フェア」に参加するために、ベトナムに出張した。文部科学省の外郭団体である「日本学生支援機構」が主催し、日本の大学が連合して、ベトナムの青年に日本教育を宣伝する巡業旅行だ。しかし、米大使館陥落のテレビ中継を生々しく記憶している世代としては、生きているうちに、しかも同時にハノイとホーチミン(サイゴン)に行けるとは思っていなかったので、いささかの感慨はある。しかし実際に足を踏み入れた感じとしては、アメリカの痕跡はほとんどなくて、むしろマルグリット・デュラスのフランス植民地の雰囲気が再び立ち昇っているのではないか、とも思われた。まあ町なかをちょっと覗いただけだから、なにも確かなことは言えないが。ともかく越族は中国人よりははるかにわれわれ倭族に近い感じがしたのは、正直なところだ。
 それで、不思議な夢を見た。11月28日早朝、7時前、ホーチミン、ニューワールドホテルでのことだ。
 私は老兵らしい。足が不自由で蟹股になっている。内務班で下士官か士官からいじめられているらしい。そこに山下奉文のような将軍が現れ、私に質問する。将軍「いつから軍にいるのか」私「乃木将軍以来であります」生き残りなのだ。私は思い出しつつ話す。「水師営も含め、乃木将軍とはずっとであります」
 将軍は感動して、兵営の玄関で副官に「昔は軍袴の結び方でも(上官が部下に)教えてやって、(結び方が悪いと)どうのこうのとは言わなかったな」副官「はい」どうやら私は蟹股で軍袴(こんなことば、いくら夢でもよく出てきたものだ)がしっかり穿けないので、それでいじめられたらしい。兵営の床に置かれている軍袴がはっきり見えている。ズボン吊などのディテールなどよくわかる。
 私はいつの間にか老兵から女学生に変り、場面もまるでNHKの朝の連続テレビドラマのようになっている。私は蟹股の老兵をおぶって、家(兵士たちの疎開先になっている?)の階段を上がりながら「南さん(老兵の名、東さんとも呼んでいるような気がする)はほんとうの兵隊さんよ、はじめはそうじゃなかったかもしれないけれど、どこかから本物の兵隊さんよ」と語る。どうやら老兵は元来ニセ兵士で、過去を隠すために軍隊に逃げ込んでいたらしい。このあたり、感動的な場面だと、この夢を見ているもう一人の自分が思う。
 家は大きくて、二階には別に疎開して来ている女がいる。元華族か? 「─で─なら(このセリフ記憶していない)、私は追い出されるわネ」と捨て鉢に、あてつけがましく私に言う。だいぶん追い詰められているようだ。私はしかしいつものことと受け流し、なおも上に上がっていくと、下からは女の泣く声が聞こえてくる。
 上の部屋にはたくさんの本や資料の棚がある。それらを引っ張り出してぱらぱらとめくりながら、女学生の声でナラタージュが入る。「この世界では戦争がずっと長く続いて核戦争にまで発展し……」どうもこれはパラレルワールドのことで、昭和23年頃まで戦争が続いているらしい。
 今は戦争中なのか? それとも終戦後のことなのか? そう思っているところで目が覚めた。
 すぐに飛び起きて机に向かい、フールスカップを取り出して、ありありと覚えているうちに書き留めた。
 ベトナムはかつての仏印で、日本軍も進駐していたはずだから、そのころの兵隊さんが夢に入ったのか。そんな風にも思った。

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