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黙祷

 今日はもちろん黙祷した。
 二年前の同じ日、私はパソコンで、何か作業をしていた。マシンが不調で、バックアップを取っていたような記憶がある。
 菅首相が国会でもう少しで引きずり降ろされそうになっていたとき、「緊急地震速報です」というラジオの声が流れ、続いて物凄い揺れが襲ってきて、しかもそれが、普段の経験から予想していたようには終わらない。それどころか、ますますひどくなる一方だ。あわてて玄関のドアを開け放ち、空を見上げると、灰白色のどんよりとした色だ。まだ揺れて、マンションの棟のつなぎ目がギシギシギシギシとひっきりなしにきしむ音のする中、ちょうど外出していた家族の名を、届くはずもないのに大声で呼んだ。
 ようやく少し落ち着いてから(もちろん食器が落ちて割れたり、家具が壊れたりはした)テレビをつけると、「大津波警報」という、見たこともない文字。画面では、いましも津波が、宮城県の美しく整備された田園を一直線に覆い掃きならしていく。4tトラックだったろうか、マイクロバスだったろうか、まどろっこしいほどにゆっくりと走り、水が迫ってくるその画面に向かって、「早く逃げろ!」と叫んだのも覚えている。
 だらだらいつまでも話を続けていても仕方ない。後はこんなことの連続だ。

 今日、兜町の人たちも、黙祷はしたろうか。
 明日になれば、だれもかれも、もう忘れたように、「景気回復」とやらに狂奔するのだろう。


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