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Space Battleship ヤマト覚え書き

○Space Battleship ヤマト 覚え書き

 初日の夜、観に行ってしまった。
 最終回だというのに、南大沢のシネコンプレックスでも四分ほどの入り。若いカップルもいる。後は40代のもとオタクらしきオッサンたち。「なにか」を確かめに来ているのだろう。だが、こっちもそんなものだ。
(以下ちょっとだけネタバレあり)
 観終わっての印象というのは……とくになし。「宇宙戦艦ヤマト」と「さらば宇宙戦艦ヤマト」を足して二で割った形。お約束のシーン(私には、加藤〈だったか山本だったか〉が敬礼しながら撃墜されていくシーンが鮮やか)とセリフ、それに楽屋落ちを交えた作りだ。ただし、真田の「こんなこともあろうかと」というのはない。あれは実際には話されてない、という話だから。ともかく、「みんな死んじゃうヤマト」が健在というか、構想として復活したのには驚いた。公開直前に故人となった原作者も、以て瞑すべきかもしれない。
 こう書くといかにも批判的のようだが、そうでもない。それなりによく出来ているし、役者たちも楽しんで演技している。脇役たちは、どれもいい。印象に残るのは、矢柴俊博扮する南部だ。オリジナルとはまるで違うが、現われるシーンでは、かならず見過ごされない形でフレームに入っていて、場面を取る。プログラムの経歴を見ても、芸達者な人のようだ。他のベテラン陣は、言うまでもない。緒方直人も、かれなりの島大介を演じている。宮沢賢治役といい、なんでもこなしてしまう俳優だ。ヒロインの黒木メイサという人も、誠実に演じているとは思う。
 映画全体としては、ヤマト艦内も含めて、円谷特撮(「海底軍艦」とか)や「ミカドロイド」などをいかにも連想させる、日本SFお得意の、あの陰々滅々たる雰囲気を、うまく醸し出している。これもプログラムによれば、山崎監督は「エイリアン」も好きだというし、そうした作品へのオマージュであるかもしれない(ガミラス星での空間騎兵の戦いは、「スターシップ・トゥルーパーズ」〈こちらこそがハインライン原作の元祖機動歩兵〉へのオマージュ)。あるいは、新東宝「戦艦大和」などもその一つに入るだろうか。注文をつけるなら、ヤマトの船体を、もうすこし重量感をもって動かしてほしかった。つまり、画面に微細な振動を入れたり、音響で感じさせたりという効果のことだ。マンガのコマに、「ズ・ズ・ズウ~ン」などと入っているようなものだ。
 ここまで書いて、主役のことに触れてこなかったが、まあ、もし「キムタクでなかったら」とは、誰しも思うことだろう。だがこれも別に、木村拓哉を批判しているのではない。よくやっているし、雰囲気も出している。ただ、「もしかれでなかったらどうであったろう」、と思うだけのことなのだ。いずれにせよ、名脇役たちに支えられた「かれのための映画」なのだろうから。
 最後に感じたのは、インターミッションも入れて3時間くらいの長尺にしたら、もっと作り込めたものに仕上がったのではないか、ということだった。それに、画面的には、DVDホームシアターで十分だろう。かえってその方が、迫力が出るかもしれない。
*蛇足を付け加えるならば、帰りに寄ったコンビニで店員の制服を見ているうちに、「ヤマト」の服に見えてきてしまった。

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