美味い定食屋 ○美味い定食屋 今日、会合の帰り、素晴らしく美味い定食屋に寄る。若手同僚の先生の紹介。 いつも通るメインの道路から横に外れたところにあって、あまり認識していなかった。 店は蛍光灯で明るくて、がらんと天井が高く、いかにも昔風の定食の店。壁には献立を書いた短冊がずらりと並べて貼られているのもいっそうそんな感じ。今風の照明も内装も施していないところが潔くていい。 先にビールを頼み、出てきたお通しのひじきを食べて、これはいけると確信した。 予想通り、出てきた食事は期待以上で、私はかさごの煮付けにしたのだが、臭みも何もなく、油もすっかり落ちて甘辛さ具合が全体に染み込んだ絶妙の味付け。そして大き目の茶碗に盛られたご飯がまた、ふわりと炊き上がっていながら、それでいて気取った料理屋によくありがちなあの妙に自己主張した粒立ちというものがなく、「むしゃむしゃ」食べられる柔らかさを持っていて、定食屋の飯にふさわしく好ましい。味噌汁も沢庵も出しゃばらず、しかもえぐみがまったくない。 少々遅い時間に入ったのだが、後から人が途切れることなく入って、静かにテーブルにつき、ひっそりと夕食をしたためていく。みな独身者なのだろう。地元に住む人たちにのみ知られる店だ。 味と雰囲気に満足し、満腹して、ビールも合わせて、ひとり野口英世一枚。 こうした店が存在しうる商店街というのも、なかなかいいではないか。 [0回]PR