学生の質問 ○学生の質問 授業の後、学生が質問にやってきて(これはこの学校では珍しいことなのだ)、 「昔の人は、今と同じような、国民とか国とかと考えていたのでしょうか」と言う。 「それは、自分は……国の人間だ、とか、となりに……国がある、などとは考えてはいただろうが、パスポートだの、国籍だの、納税だの、国民国家になってからのような感覚とは違うだろうね、半分くらいずれて半分くらい重なっているだろうね。僕らは今の知識で過去のことを当てはめ分類しているに過ぎないからね」と答えた。 するとまた、 「世界史で得た知識なども、危ないですね」と言うので、 「危ないこともある。でも知識は必要だ。『知識は使うもので、知識に使われてはいけない』ということだろうね、君はたいへん良い質問をしてくれた」と答えた。 いい質問に答えているうちに、「いい答え」になっていくわけで、ダイアログが久し振りにできた。 [0回]PR