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お盆の夢

○お盆の夢
 お盆だけあって、さっそく懐かしい故人が夢に入った。
 その人に色紙を書いてくれと頼まれて、筆を執る。何十センチ四方もあるような大きな色紙。「ふきのとう」と書くのだ。最初の一枚か二枚は、どうも自信がなく、また字の体裁を気にしすぎてぎこちなくなり、思い切って固い色紙を折り曲げて捨てる。「そうだ、体裁など気にせずに好きなように書けばいいのだ」と気がついて、急に楽になり、筆を思うがままにのびのびと滑らせながら下書きすると、気持ちよく大きくうまく書ける。新しい色紙に筆を下ろし、気持ちよく「ふきのとう」と、我ながら達筆に書き上げる。「そうだ、賛も書かねばならないのだ」と気づき、なにやらもっともらしいことを書き連ね、終わりに「……ふきのとうはこうして再び新たに伸びるのであります」などとまとめる。
 そのあたりで目が覚める。
 思うと、その故人の名はこの色紙の題とある意味でつながりがある。

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