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ドカベン

○ドカベン
 コンビニに寄ったら、『ドカベン』のペーパーバック版が出ていたので、つい立ち読みしてしまう。気がついたら1時間。
 今改めて読み返してみて思うのは、水島新司はやはり人情マンガにこそ、その本領があるなということだ。読んだのは第一巻なのだが、ここではドカベン山田太郎は、まだ中学生、しかも舞台は柔道部だ。もちろん柔道のみならず、学園生活全般もよく描き込まれ、伏線も十分張られている。貧しく明るいドカベン一家、富裕だが成金に付き物の偏頗さを併せ持つ岩鬼家、実に類型を踏んでいるが、それが安心して読める所以でもある。
 これがしだいに野球一筋に特化していってしまうわけだが、ともかく初期の水島新司のマンガは、細やかだがくじけない、そうした人を信じる真心を描かせたら一品だ。野球に題材をとった『ダブダブ1ちゃん』(兄が貰った王選手のユニホームを勝手に着て出た子供が活躍する)ですら、基本は人情、触れあい、助け合いだ。
 またあらためて面白かったのは、このころは結構、楽屋落ち的なサービスが随所にちりばめられているということだ。たとえばドカベン一家が「たまに」行く銭湯の番台に座っている「十円クン」は明らかにつのだじろうのキャラクターだし(つのだじろうといえば、この人も恐怖物に行く前は『忍者あわて丸』などのギャグマンガで鳴らしたものだが、もっと遡ると、『どんてん大将』に見られるように、人情劇を描かせたら最高なのだ)、柔道連盟の若き実力者は、武内つなよしの名作『いがぐり君』へのオマージュ、成人した姿だ。
 復刊ペーパーバックには、こんな新たな発見の面白さもあった。

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