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クロを送る

●クロを送る
 明るい雨の中、クロを送りに、ペット霊園まで妻と行く。病院に行く以外は、家から出たこともなかった。小さな菓子缶に納まったクロに、「お家にさよならだよ」と言って出る。
 ひと月前にシロを送った同じ墓苑。今日も先客がいた。線香を上げて別れを告げる。
 シロを合祀している供養塔に参り、「淋しくないぞ、クロもくるからな」と言う。そこにちょうど烏が二羽来て、まるで見るようにしていたのは、あるいはシロとクロだったのか。
 近くのファミレスで精進落しをして、帰宅。鳥籠も、籠を載せていた台もすっかり片付けたので、妙にがらんとしてしまった。かれら二羽の気配というのが、いかに日常になっていたかということが、あらためてわかる。

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