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BS日本・こころの歌はシュルレアリズムだ

○BS日本・こころの歌
 1月10日の話だが、夜、BS日テレにチャンネルを合わせたら、「BS日本・こころの歌」という番組をやっていた。
 出演しているのは、「フォレスタ」という音大卒業生からなる合唱グループで、グーグル検索すれば沢山説明が出てくるが、私はこのたび初めて知った。
 実力はありそうだし、声は綺麗でよく通るし、信頼も置けそうで、それはもう全然問題ないのだが、番組そのもの構成というか、作り方が何というか、私には衝撃的だった。
 まずかれらは背筋を伸ばして直立不動、しかもそれぞれ離れて独立した台になっている小ステージの上に立ち、マイクは顔の前に水平に構えて朗々と歌い上げ、そのスタイルは、近年実に珍しい。
 さらに驚くのはスタジオの舞台背景装置で、とにかく観てほしいと言うしかないが、私が思うに、かれらの姿勢、発声、演奏スタイルに、この背景、スポットが当たったり、また暗くシルエットになったりする古典的照明技法、これらがすべて相俟って、およそこの世のものとは思われない、むしろ超現実的空間がそこには現出しているように見えてしまう。
 マグリットやエルンスト、キリコなどのシュルレアリストたちにこの番組を見せたら、大いに喜ぶか、それとも「負けた!」と臍を噛むか。ともかく二十世紀前半にかれらの感性がいちはやく感得したビジョンが、おそらくそんなことは毫も考えていないであろうテレビマンによって実現どころか、大真面目に、そしてはるかに乗り越えられてしまう、ついにそんな時代に来たのだと、私は感じたのであった。
 ちょうど国立新美術館でシュルレアリズム展が開かれる、その予告のポスターを駅で目にしていたので、しかも酔余の帰宅ということもあって、余計にそう感じたのかもしれない。

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