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藤村と柳田

○藤村と柳田
 島崎藤村の『家』上巻の中で、小諸の小泉三吉(藤村)の家をおとなう、長野県庁で「コオペレエション」について講演するために東京からやってきた少壮の官吏である「西」とは、柳田国男のことだ。薄々そうではないかとは思っていたが、思い立って両者の年譜をネットで調べてみたら、合致した。ただし、そのときに西と同道した、彼の旧友である甲州出身の新聞記者が、実在の誰なのかはわからない。西のモデルについては新潮文庫本の注には出ていなかったので、気になっていたのだ。この西は、後の民俗学者柳田国男について私が持っている物知りの古老的なイメージとはずいぶん違って、ひどく闊達で、ときにはその話し振りや態度が少々厭味に亙るくらいの俗なエリート官僚に描かれている。旧友の記者に「君も大分変った」などと言われているほどだ。
 尤も、こんなことは文学史上では、常識の範囲内のことだろう。私のようなものが、たかが5分でネットで調べがつくのだから。ともかく、自分の心覚えまでに書いておく。

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