除夜の鐘 謹 送 旧 年 ・ 謹 迎 新 年 大晦日になると、いつも思い出す、中原中也の詩があります。 大晦日の夕刻の浅草、国際通りや伝法院通り、新仲見世や大黒屋を通るとき、いつもこの詩を思い出します。 また三十年前、代々木の空は、確かにこんな感じだったのです。 除夜の鐘 除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。 千万年も、古びた夜の空気を顛はし、 除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。 それは寺院の森の霧った空…… そのあたりで鳴って、そしてそこから響いて来る。 それは寺院の森の霧った空…… その時子供は父母の膝下で蕎麦を食うべ、 その時銀座はいっぱいの人出、浅草もいっぱいの人出、 その時子供は父母の膝下で蕎麦を食うべ。 その時銀座はいっぱいの人出、浅草もいっぱいの人出。 その時囚人は、どんな心持だらう、どんな心持だらう、 その時銀座はいっぱいの人出、浅草もいっぱいの人出。 除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。 千万年も、古びた夜の空気を顛はし、 除夜の鐘は暗い遠いい空で鳴る。 よいお年を。 [0回]PR